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2017.03.07

ズバッと一言

これで文句も言えないな

今日は先日ネットニュースで見た記事を紹介します。

 

終末期医療、救命の努力放棄に警鐘-集中治療学会が治療方針で勧告

 

日本集中治療医学会は、患者本人や家族の要望で心肺が停止しても蘇生を行わない「DNAR」について、その妥当性を患者と医療・ケアチームが話し合うことなどを求める勧告を出した。「救命の努力が放棄されている」と危惧されていることを挙げ、「DNAR指示にかかわる合意形成と終末期医療実践の合意形成は、それぞれ別個で行うべき」としている。【新井哉】

終末期医療をめぐっては、医師によるDNARの指示で、治療などの基本を無視した安易な終末期医療が実践されていることや、必要な救命処置を行う努力を放棄しているといった懸念が出ていた。

同医学会が行った終末期医療とDNARに関する調査でも、患者や患者の家族と話し合う際の方針について、医療・ケアチームで話し合いが義務付けられている施設は、全体の1割未満だったことが判明。DNARのマニュアルに関しても、7割近くの施設が「ない」と回答しており、DNARの指示が現場の裁量に委ねられている実態が浮き彫りになった。

同医学会は公表した調査結果で、DNARの指示が蘇生行為以外にも適用される恐れを挙げている。後期高齢者(75歳以上)でADL(日常生活動作)が低く、感染症を繰り返す患者を例に挙げ、何度も苦痛にさいなまれている場合などはDNARが適用されることが少なくないことを指摘。「高齢者だから」「ADLが低くなることが予想されるから」といった理由で、「社会的弱者」と呼ばれる患者に適用が広げられることを懸念している。
医療現場で安易にDNARの指示が出ることを防ぐため、今回の勧告で、▽指示は心停止時のみに有効である▽臨床倫理を扱う独立した病院倫理委員会を設置する▽指示にかかわる合意形成は終末期医療に関するガイドラインに準じて行う―といったことを記載。指示の妥当性についても「患者と医療・ケアチームが繰り返して話し合い、評価すべき」としている。

 

これが記事内容の全文です。ここで確認しなくてはいけないことはDNARです。

 

DNARとは

患者本人または家族の希望で、心肺蘇生を行わないことである。または、その特別な指示のこと。癌末期や老衰、心肺停止の際に、医師が予め患者家族からDNARの希望を受けている場合、心肺蘇生を省略することができる。

と定義されています。

 

これまでもこれからも非常に難しい問題です。しかし、この記事からはっきりとすることは、DNAR、DNR、よく言われるナチュラルコースと言うものは、心肺蘇生を行う際に議論されることであるということです。

そもそもDNARとは心肺蘇生を行わないことです。

 

治療を放棄するという意味ではありません。

現在の日本ではたとえ本人であっても死の選択権はありません。

心肺蘇生を省略することは選択できます。

 

この記事の中でも「DNARの指示が蘇生行為以外にも適用される恐れを挙げている」となっています。

基本的な治療は年齢やADLに関係なく、行われなければいけないということです。

 

確かに高齢化が進む中、「治療をしても寝たきりだらか」というように積極的に治療をしない傾向があることは事実です。私個人としては理解できないこともありません。

しかし、私は死んでいい命はないと思っています。

今でも、死んだ祖父や祖母、父親や母親、叔父や叔母など会いたいなあと思うことがあります。

私はどちらかというと両親には苦労させられました。生きているときは恨みもありました。

ですが、亡くなった時に「これで文句も言えないなあ」と悲しくなった事を覚えています。

 

やはり人には生きていてほしいなと思います。

 

当然この仕事をしているとたくさんの人の死に直面します。仕事ですから淡々と過ぎていきます。仕事ですから次の入居のことも考えなくてはいけません。

 

ですが、病院に居る時より介護施設で働くようになって利用者様の死は悲しみを覚えることが増えました。

他人であっても寂しいものです。ご家族はもっと悲しいはずです。私も経験しました。

 

私はこの仕事をしていてやっててよかったと思うことの一つに、病気や死と戦うことが出来るということがあります。死んでほしくないと思っている家族の代わりに戦うことが出来るのです。大きな責任もありますが、家族の代わりに戦えることは職業人として幸せなことではないでしょうか。

 

現在の高齢者医療は急激に進む高齢化と財政圧迫の中、世論が先走り、様々なことがうやむやの中進んでいるように感じます。

 

今回のこの集中治療医学会が出した勧告の中で「DNARの指示は心停止時のみに有効である」

この一文が今後の高齢者医療にどのような影響を与えるか、また今後医療、治療展開がどのように変化するのか注視していかなくてはいけません。

 

こういったことがきちんと法整備化してくれるとありがたいのですが。